前回に続いて、シルク生地やシルクの扱い方のお問い合わせが多いので、詳しく話してみたいと思います。
プロの見解とは違ってあくまで家庭でシルクの生地を取り扱う際の、個人的な工夫だと思って読んで頂けたら嬉しいです。
目次
【手作り下着】シルクの扱い方②「ツルツル滑って困る時の、印つけから裁断までの工夫」
さて、皆さんが想像されている「シルク」はどんな見た目で触り心地でしょうか?
私が真っ先にイメージしたシルクは、分類として「シルクサテン」というものでした。
ふんどしパンツと出会い、シルクという生地がより身近になって、やっと同じシルクでも沢山の種類があることを知りました。もっと言うと、それまでは既製品の服の生地という概念しかありませんでした。
私が初めてシルクの生地を手にしたのは20年くらい前で、某ハイブランドの素敵な花柄のシルクサテンでした。お裁縫に詳しい義母に買っていただいたもので、ワンピースを作りました。
当時、子ども服をよく作っていたので、同じ感覚で作り始めて大苦戦。
そこからシルクと向き合う日々が始まりました。
シルクがツルツル滑ると困る時の「①印つけ」
型紙を用意して、生地の上に置き、いざ印つけという最初の段階で、今まで触ってきた生地と全く違うことに気づきます。
普段は、鉛筆型や3角のチョークタイプのチャコで印を付けていくのですが、、、「印を付けると生地がズレる」のです。
もう、ほんとにしょっぱなからお手上げです。でも、めちゃくちゃお気に入りの、自分では買えないお高い生地。
でも、生地のままでは着れませんね。
この時に苦肉の策というか、やってみたことが何点かあります。
(1)畳にまち針を「ぶっ刺して」生地を固定。その上の型紙も同様。
畳にまち針をぶっ刺して生地を固定。その上の型紙も同様です。
これはそこそこ使えました。でも、畳の傷みに注意!笑
カーペットでも、、、いけます。
(2)テープ類で生地を固定。その上の型紙も同様。
当時、100円ショップで手軽に買えるようなマスキングテープは無かったように思います。セロテープやガムテープだと生地が毛羽立つのであまりオススメ出来ません。
(3)鉛筆型やチョーク型のチャコから、チャコペーパー&ルレットに変更。
セットする時のズレはあるものの、なぞりながらのズレは解消。当時は高かったマジックタイプのチャコも今や百均でも売っていて驚きです。マジックタイプのチャコも、生地に圧がかかりにくくてズレにくいので使いやすいです。
シルクがツルツル滑ると困る時の「②裁断」
やっと、印つけが終わり、次は裁断。
実はこの時にもいつもと違う悩みが出てきました。
これは、いまだに試行錯誤していることです。
原因は、風が吹いても「テローン」と動く滑らかな生地だから。着るととても気持ち良いんですけどねー。ある程度は仕方ないんだけども、切る時と縫う時は本当に苦戦します。
対策としては
- 裁断の際の裁ち鋏を学校の裁縫道具から、高級鋏に変更 →特に大きな効果はなし。
- 大きめのカッターマットとロータリーカッターを使う →そこそこ対策出来た。ただし、カッターマットの大きさ以内のものに限る。
ここでもう一つ作り方の工夫を。私はまだ試したこと無いのですが「印つけだけをして、裁断をするのは縫い合わせてからという方法」もあるみたいです。
現在私は、カッターマットとロータリーカッター、マスキングテープで対応しています。
プロはのりスプレーで固めてカットしていたり、そもそも型紙ではなくて、型を押してカットする方法など、工場レベルの機械があったりするのかなぁと、想像するだけで楽しそう。これだけ対策をしても、家で切るとどうしても斜めになっている。(手の癖などもあるかもしれない)でも、沢山道具がなくても、必ず出来ることがひとつあります。
それは「バランスを取ること」。
裁断の時点で「ああ、失敗してる」と思うところがあったとしても諦めないでください。修正の方法は、この後の工程で出てきます。
さて、ここまでが長くなりましたが、いよいよ縫う工程です。
シルクがツルツル滑ると困る時の「③縫う準備」
準備の段階で、綿などの一般的な生地と扱い方が異なることがあります。
それは「まち針の使い方」。シルクサテンは繊細で、普段使っているまち針を刺すと大きな穴が目立ってしまいました。
そこで、対策方法として考えたのは
(1)お裁縫用のクリップを使う(百均などにも売っている事務用クリップで代用可能)
これは、オススメ!結構使えます!
プラスチックのクリップだとサビの心配もなくより理想的かもしれません。また、シルクの為の細いまち針もあるそうです。
(2)しつけぬいをする
カーブのある箇所などは、手縫いでしつけをします。細かくバランスを取りながら縫う方が綺麗に仕上がりました。
あと、ここで重要なポイントがあります。生地と生地を重ね合わせて、クリップなどでとめた後、しつけ縫いをする前に型紙とものさしを用意。前後・左右・表裏のバランスを確認してみます。シルクサテンは主に表側がツルツルなのですが、中表に合わせて縫う時が一番ズレやすいので、縫う前の準備が重要です。
シルクがツルツル滑ると困る時の「④ミシンで縫う」
シルクサテンを扱う時に、一番と言っていいほど苦戦したのがこの、ミシンで縫う時でした。
中表にすると、ツルツル同士が重なっているので、当たり前の様にズレていきます。
そして、あ!ズレたなと思って、糸を外してみると…縫い目の跡が目立ってしまいました。
縫う時の対策方法
(1) #9薄地用の針を用意する。
無い場合は、縫うスピードをゆっくりにします。太い針で早く縫った箇所から、ストッキングの伝染のようになったことがあります。ほつれはしないけど、一番ベストな状態を保つ為には、より丁寧な選択が必要なのかもしれません。
(2)目打ちで生地を安定させながら縫う
目打ちを使う方法は、プロの洋裁師さんの技です。ミシンってどうしても表と裏の生地送りにズレが生じます。それを、手元でバランスをとっていくんですね。ただ、生地に傷を付けない様に気をつけないと。
(3)ズレの修正をする
縫い上がりましたら、ここで、ズレの修正をします。まず、縫い目の飛び、ズレ、よれがないか確認します。大丈夫だったとして、次は型紙と定規を用意します。
(4)平らな場所に置いて前後・左右・表裏のバランスを見る
シルクサテンは平置きだけではわからないズレもありますので、両手で持って目視でバランスの確認することもオススメです。全てのバランスを見て、カットが必要な箇所がある場合は、ここで修正します。シルクサテンは肌に馴染むので、多少のズレはそんなに気にならない場合もあります。
(5)仕上げ
糸を解く必要があった場合の対処法シルクサテンは糸を解くと、縫い目の穴がとても目立ちます。その場合は、水につけると穴が目立ちにくくなります。シルクサテンは布端がほつれやすいので、完成後に手洗いするか、作業途中なら霧吹きで生地を湿らせてからアイロンをかけます。
まとめ
と、こんな風に、治代流「シルクがツルツル滑って困る時の、印つけから裁断までの工夫」をまとめてみました。
シルクの扱いに関しては、よく質問されるので、参考になればよいなぁと思います。
シルクは上質で、実際に高級なものも多いですから、余り布でもいろいろと作りたくなりますね。
治代の「シルクシリーズ」は続きます。